第52話 親が子に託す期待
「カラスの子はカラス」、「かえるの子はかえる」などとよく言われますが、
人間も動物である以上、遺伝子の縛りからは逃れられません。
それを重々承知でも、親は子に期待を託すのです。
ある人達は自分が味わってきた栄光を。そして大方の人は自分が成し得なかった夢を。
果たして親は子供にどれだけ似てほしいと思っているのでしょか?
いろいろな人がいるでしょうが、他人から「お子さん最近お父さんに似てきたね。」と言われて怒る人は少ないでしょう。
ただ、これが、配偶者の遺伝子(クセや性格)の場合にはもっとシビアかもしれません。
「もう、この子ったら、こんなところまで父親そっくりなんだから!」なんて台詞を落語でもよく耳にします。
さて、話は戻って、最近私の周りでも、親が子供の進路についてどこまで関与すべきかで結構話が盛り上がることがあります。
スポーツ選手や音楽家等、才能を要求される世界では、親が偉大であればある程、子供が同じ道を進む場合大変です。
今連載されている、日経新聞の『私の履歴書』にプロゴルファー、ジャック・ニクラウスの子育て論が載っていました。少し長いですが引用すると
『自分の経験を踏まえ、一つだけ決めていることがある。それは子供を追い込まないということだ。何かを無理やり詰め込まれた子供が成功するとは思えない。まず、子供が何かに夢中になり、そのための支援を惜しみなく与える。
そうすることで初めて子供は成功する。
四人の息子たちについてもこの信念を貫いた。後に、彼らは異口同音に私を責めた。
「父さん、何故、もう少し強く自分の背中を押してくれなかったのか……」と。勿論、もう少し厳しくすることもできただろう。しかし、彼らにゴルフを強要していたならば、彼らはゴルフから離れて行ったに違いない。彼らは今でもゴルフが大好きで、とても良い
プレーヤーだと思う。ただ、偉大なチャンピオンになれなかっただけだ。』
帝王ニクラウスは、息子達がまだ幼少の頃、彼らに何を期待したのでしょう。おそらくゴルフの世界で自分を超えることの大変さを自分が一番分かっていたでしょうから、子供
を追い込みたくないという気持ちも同時に働いたと思います。
我々一般人の場合は、「自由にさせておいて、それでいてさりげなくお膳立てする」というのが理想だと考えている人が多いようです。
当然、言うのは簡単でも、お膳立てする度合いが少し過ぎると強制的になり、子供の主体性が損なわれかねません。
もっとも昨今は、歌舞伎や伝統工芸の世界に限らず、政治家でも芸能人でも経営者でも世襲の2代目、3代目が幅を利かせています。
子供に仕事を継がすことが、生まれた時から決められている家庭の場合は、これはこれで大変なことだと思います。
決められていることであっても、自分の意志で選んでいくという経緯を経なければなりませんから。
生まれた時は五体満足ならと喜んでいたのに、子が成長するに連れて、親の期待や要求は膨らんでいきます。これもやっぱり人間の業(ごう)なのでしょうか?
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